油は体に悪いの? 体に必要な脂質の大切な働き
「健康のために、油は控えたほうがいい」
「脂っこいものを食べると太るから、できるだけ避けている」
そんなふうに考えていませんか?
健康診断でコレステロールや中性脂肪の数値が気になったり、年齢とともに体重が増えやすくなったりすると、食事に使う油が気になる方も多いのではないでしょうか。
確かに、脂質のとりすぎには注意が必要です。
でも、だからといって、油を減らせば減らすほど健康によいというわけではありません。
実は、脂質は私たちの体に欠かせない栄養素のひとつ。
今回は、毎日の食事に使う油を考える前に、まずは脂質が体の中でどんな働きをしているのか、一緒に見ていきましょう。
そもそも脂質って何?
脂質は、たんぱく質、炭水化物と並ぶ三大栄養素のひとつです。
食事からとる脂質には、調理に使う油だけでなく、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などに含まれるものもあります。
そして、脂質には、私たちが元気に生活するための大切な働きがあります。
1.体を動かすエネルギー源になる
脂質の大きな役割のひとつが、エネルギー源になることです。
脂質は1gあたり約9kcalのエネルギーを生み出します。これは、炭水化物やたんぱく質の約4kcalと比べて、2倍以上です。
体を動かしたり、体温を保ったり、心臓を動かしたり。私たちが生きていくためには、絶えずエネルギーが必要です。
脂質は、そうした活動を支える大切なエネルギー源なのです。
2.細胞膜の材料になる
私たちの体は、約37兆個もの細胞からできているといわれています。
その一つひとつの細胞を包んでいるのが「細胞膜」です。
この細胞膜をつくる主要な材料のひとつが、脂質です。
細胞膜は、細胞の内側と外側を隔てるだけでなく、必要な物質の出入りを調節する役割も担っています。
つまり、脂質はエネルギーになるだけではなく、体そのものをつくる材料としても必要なのです。
3.ホルモンなどをつくる材料になる
脂質の一種であるコレステロールは、細胞膜の構成成分であるとともに、体の働きを調節するホルモンをつくる材料にもなります。
例えば、ストレスへの対応や血圧・水分バランスの調節、生殖機能などに関わるホルモンの生成にも、コレステロールが必要です。
「コレステロール」と聞くと、健康診断で数値を指摘されるもの、というイメージがあるかもしれません。
しかし、コレステロールそのものが不要なわけではありません。体に必要な物質であり、問題になるのは血液中の量やバランスなのです。
4.ビタミンの吸収を助ける
ビタミンの中には、脂質と一緒にとることで吸収されるものがあります。
それが、ビタミンA・D・E・Kです。
これらは「脂溶性ビタミン」と呼ばれ、目や皮膚の健康、骨の維持、抗酸化作用、血液凝固など、さまざまな働きに関わっています。
食事から脂質を極端に減らしてしまうと、こうしたビタミンの吸収にも影響する可能性があります。
5.体を守り、体温を保つ
体に蓄えられた脂質は、必要なときにエネルギーとして利用されます。
また、皮下脂肪には体温の維持を助ける働きがあり、脂肪組織は内臓を衝撃から守る役割も担っています。
もちろん、体脂肪が多すぎる状態は健康上のリスクになります。
大切なのは、脂肪をすべてなくすことではなく、体に必要な働きを理解し、適切な状態を保つことです。
「脂」と「油」はどう違う?
ここまで、脂質が体に必要な理由を見てきました。
では、食事に使う油には、どんな違いがあるのでしょうか。
「脂」と「油」は、一般的に、常温で固まりやすいものを「脂」、液体のものを「油」と表すことがあります。
例えば、バターや牛脂は常温で固まりやすく、オリーブオイルやごま油は液体ですね。
こうした違いに関係しているのが、脂質を構成する「脂肪酸」の種類や割合です。
脂肪酸にはさまざまな種類があり、どの脂肪酸がどれくらい含まれているかによって、油脂の性質や特徴が変わります。
例えば、オリーブオイルにはオレイン酸が多く含まれています。一方、バターにはパルミチン酸などの飽和脂肪酸が含まれています。
また、脂肪酸の種類は酸化のしやすさにも関係します。ただし、酸化の程度は、油に含まれる抗酸化成分や加工方法、保存状態などによっても変わります。
つまり、油はどれも同じではないのです。
大切なのは、脂質を減らすことだけではない
脂質には、体を動かすエネルギー源になる、細胞をつくる、ホルモンの材料になるなど、さまざまな役割があります。
そのため、健康のために脂質を控えようとするときも、ただ量を減らすだけでなく、何から、どのくらいとっているのかを考えることが大切です。
例えば、調理に使う油を見直すだけでなく、肉や魚、大豆製品など、食品に含まれる脂質にも目を向けてみましょう。
健康診断の数値が気になる方も、特定の食品や油だけを悪者にするのではなく、食事全体のバランスを振り返ることから始めてみてください。
次回は、ひとつの油にさまざまな脂肪酸が含まれていることを、見ていきます。
毎日使う油の特徴を知ることが、自分に合った食事を考える第一歩になります。
次回以降の予告
脂質の特徴を知ることは、自分の体に合った食事を考える第一歩。
一緒に、毎日の食事に生かせる知識を身につけていきましょう!
次回は、第2回|油の中身を知っていますか? ひとつの油に含まれる、いろいろな脂肪酸
をテーマにお伝えします♪
最後まで読んで頂きありがとうございます!
第1回|油は体に悪いの? 体に必要な脂質の大切な働き
第2回|油の中身を知っていますか? ひとつの油に含まれる、いろいろな脂肪酸
第3回|バターと植物油は何が違う? 油の性質を決める脂肪酸の話
第4回|体に必要な油って、どんな油? 青魚やえごま油に含まれる脂肪酸
第5回|コレステロールや中性脂肪が気になったら? 食事で見直したいポイント


