熱中症対策・前編
~命を守る水分補給~
暑い季節になると、気をつけたいのが熱中症ですね。
熱中症対策として、まず思い浮かぶのが「水分補給」ではないでしょうか?
でも、なぜ水分補給が大切なのでしょう?
そして、何を、どのくらい、どんなタイミングで飲めばいいのでしょう?
今回は、熱中症対策の基本となる「水分補給」について、
管理栄養士の視点からお伝えします。
なぜ、汗をかくのでしょう
私たちは、暑くなると汗をかきますよね。
では、なぜ汗をかくのでしょう?
それは、体を冷やすためです。
体温が上がりすぎると、体にとって危険です。
そこで私たちの体は、汗を出して、体の熱を外へ逃がそうとします。

ところで、汗は何から作られるか知っていますか?
実は、汗は血液の水分をもとにつくられています。
血液は、酸素や栄養素を体中に運ぶ、とても大切なもの。
そんな大切な血液の水分を使ってまで、私たちの体は汗を出します。
それだけ、体温を上げすぎないことが、体にとって重要だからです。
汗が皮膚の表面に出て、蒸発するときの様子はイメージするなら、車のエンジンを冷やす「冷却水」のようなもの。
だから、たくさん汗をかいたときには、水分を補うことが大切なんです。
体を冷やすために汗をかく。
その汗をつくるためには、水分が必要。
だからこそ、暑い季節には「こまめな水分補給」が大切なのです。
水分補給には、何を飲めばいい?
では、熱中症対策のためには、何を飲めばいいのでしょう?
基本は、水やお茶でOKです。
たとえば、
- 水
- 麦茶
- ほうじ茶
- ルイボスティー
- 無糖の炭酸水
など。
普段の生活で、特に激しい運動をしていないのであれば、こうした飲み物で十分に水分を補給できます。
「熱中症対策にはスポーツドリンクを飲まなくちゃ」
と思っている方もいるかもしれません。
でも、スポーツドリンクは、誰にとっても必要なわけではありません。
スポーツなどで長時間・激しく体を動かし、たくさん汗をかいたときには、水分だけでなく、汗と一緒に失われる糖分や電解質を補う必要があります。
そんなときには、スポーツドリンクなどが役立ちます。
一方で、普段の生活でそれほど汗をかいていないのに、日常的にスポーツドリンクを飲み続けると、必要以上に糖分を摂ることにもつながります。
「水分補給=スポーツドリンク」ではなく、そのときの状況に合わせて選ぶことが大切です。
一方、カフェインには利尿作用がありますが、通常の量であれば、飲み物に含まれる水分も体に補給されます。
ただし、暑い日に水分補給を目的として飲むのであれば、まずは水やカフェインの少ないお茶を選ぶとよいでしょう。
そして、アルコールは水分補給にはなりません。
むしろアルコールには利尿作用があり、脱水を進める可能性があります。
暑い日の水分補給として、お酒を選ぶのはやめておきましょう。
つまり、覚えておきたいのは、
普段の水分補給 → 水やお茶
たくさん汗をかく運動時 → スポーツドリンクなども選択肢に
ということ。
「何を飲めばいい?」と迷ったら、まずは水やお茶。
そして、たくさん汗をかいたときには、その状況に合わせて飲み物を選ぶ。
これが、暑い季節の水分補給の基本です。
どのくらいの量を、どんなタイミングで飲む?
では、実際にどのくらいの水分をとればいいのでしょう?
ここで、私たちの体の「水分の出入り」を考えてみましょう。
たとえば、体重70kg程度の成人の場合、安静にして過ごしていても、1日に体へ入ってくる水分と、体から出ていく水分は、それぞれおよそ2.5L程度になるとされています。
「それなら、毎日2〜2.5Lくらい水を飲まないといけないの?」
と思うかもしれません。
でも、そうではありません。
私たちが体に取り入れている水分は、飲み物だけではないからです。
食事に使われている食材にも水分が含まれています。
さらに、食べたものを体の中で利用するときにも、代謝によって水分がつくられます。
つまり、
水分補給=飲み物だけではない
ということ。
食事からとる水分や、体の中でつくられる水分も含めて、1日の水分バランスが保たれています。
一方、体からは、尿や便だけでなく、皮膚や呼吸からも、気づかないうちに水分が失われています。
このように、私たちの体では毎日、水分が入ったり出たりしています。
そして、ここに「汗」が加わります。
暑い日にたくさん汗をかけば、その分だけ体から出ていく水分が増えます。
だからこそ、汗をかいた分の水分を補うことが大切なのです。
ここで、「汗でどのくらい水分を失うのか?」
を体重をもとに考えてみたいと思います。
汗で失った水分量をイメージするには、サウナを思い浮かべるとわかりやすいです。

サウナに入る前と、出た後で体重を測ってみると、体重が減っていることがあります。
もちろん、短時間で脂肪が大きく減ったわけではありません。
汗などによって、体の中の水分が失われたことが大きく関係しています。
たとえば、サウナに入る前より体重が500g減っていたとしたら、単純に考えると、体から約500mLの水分が失われたことになります。
つまり、
汗をかく
→ 体から水分が出ていく
→ その分を補う
これが、水分補給の基本です。
ただし、必要な水分量は、体格や食事、気温、運動量、汗をかく量などによって変わります。
「毎日○mL飲めば大丈夫」と数字だけにこだわるのではなく、汗をかいたときには、特にいつもより意識して水分を補う。
これが、暑い季節の水分補給では大切な考え方になります。
水分補給は「喉が渇く前」が基本
では、どんなタイミングで水分をとればいいのでしょう?
ポイントは、「喉が渇く前に飲む」ことです。
喉の渇きは、体の中の水分が不足し始めているサイン。
「喉が渇いたから飲む」ではなく、暑い場所にいるときや汗をかいているときには、喉が渇いていなくても、意識して水分をとることが大切です。
特に暑い日は、
汗をかく ⇒ 喉が渇くのを待つ ⇒ 水分をとる
ではなく、
汗をかく ⇒ 喉が渇く前に、こまめに水分をとる
を意識しましょう。
一度にたくさん飲むよりも、少しずつ、こまめに。
これが、暑い季節の水分補給の基本です。
暑い日の水分補給は、温度もポイント
暑い場所で水分補給をするときは、少し冷たい飲み物を選ぶのもおすすめです。
目安としては、15℃前後。
「15℃って、どのくらい?」と思いますよね。
冷蔵庫から出したばかりの飲み物を少し置いておくと、表面に水滴がつき始めることがあります。
そんなくらいの「ひんやり冷たい」と感じる温度をイメージしてください。
冷たい飲み物は、水分を補給するだけでなく、暑くなった体を冷やす助けにもなります。
特に、暑い屋外で過ごしているときや、汗をたくさんかいているときには、冷たい飲み物を上手に取り入れてみましょう。
ただし、冷たすぎるものを無理に飲む必要はありません。
「おいしい」「飲みやすい」と感じる温度で、こまめに水分をとること。
それが一番大切です。

たくさん汗をかいたときは、尿をチェック!
では、たくさん汗をかいたときは、どうすればいいのでしょう?
そんなときに、ぜひ確認してほしいのが「尿」です。
たくさん汗をかいても、しっかり水分を補給できていれば、尿は普段と大きく変わらないこともあります。
一方、水分補給が足りていないと、
- 尿の色がいつもより濃い黄色になる
- 尿の量が少なくなる
といった変化がみられることがあります。
もちろん、尿の色や量は、食事や体調、サプリメントの補給などによっても変わります。
でも、炎天下で長時間過ごし後などに、
「今日はあまり尿が出ていないな」
「いつもより濃い色だな」
と感じたら、水分が不足しているサインかもしれません。
そんなときは、喉が渇いていなくても、飲みやすい温度の水分をできるだけ早めに、少しずつこまめに補給しましょう。
「何mL飲まなきゃ」と数字だけを気にするよりも、自分の体の変化を確認すること。
それも、暑い季節に自分の体を守るための大切な方法です。
まとめ
熱中症対策のための水分補給は、
何を飲むか。
どのくらい飲むか。
いつ飲むか。
この3つを、その日の気温や活動量、汗のかき方に合わせて考えることが大切です。
普段は水やお茶を基本に。
たくさん汗をかいたときには、必要に応じて電解質や糖分を含む飲料も取り入れる。
そして、喉が渇く前に、少しずつこまめに。
暑い季節は、毎日の水分補給を「習慣」にして、体を守っていきましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
次回は熱中症対策・後編 食事編について紹介します!


